妊婦健診(妊婦健康診査)は、ママの健康状態をはじめ、お腹の赤ちゃんの育ち具合を確認するための健康診査です。身体測定や血液・血圧・尿などの検査を中心に行います。
妊娠中は様々な変化が体にみられます。自覚症状がなく、一見順調そうにみえたとしても、見えないトラブルが隠れている可能性があります。気がかりなことや不安あるいは心配がなくても、妊婦健診は少なくとも毎月1回(妊娠24週以降は2週間に1回)は、必ず受けるようにしてください。
「何かおかしい」と感じたら速やかにご連絡を
健診の日でなくても腹痛や出血などが見られるなど、「何かおかしい」と思ったら、遠慮せずにご連絡ください。特に以下のような症状が出たら、速やかにご相談ください。
- 性器出血
- 腹痛
- 腰痛
- 発熱
- 下痢
- むくみ
- めまい
- 吐きけ、嘔吐
- 強い不安感
- 便秘
- いつもと違うおりもの
- 強い頭痛
- イライラ感
- つわり
- 激しい動悸
- 今まであった胎動を感じなくなった など
妊婦健診で行われる検査
毎回共通する基本的な項目
健康状態の把握
妊娠週数に応じた診察を行います。
検査計測
妊婦さんの健康状態とお腹の赤ちゃんの発育状態を確認する基本検査(血圧、尿検査(糖・蛋白・ケトンなど)、体重測定)を行います。
保健指導(体調変化へのアドバイスなど)
妊娠期間を元気にお過ごしいただくための食事や生活に関するアドバイスを行うと共に、妊娠・出産・育児に対する不安や悩みの相談に応じます。また、家庭的・経済的問題など個別支援を要する方には適切な保健・福祉サービスが受けられるように、市区町村の保健師等と協力して対応いたします。
時期に応じて行う医学的検査
妊娠初期(妊娠9から10週)
- 血液検査【初期に1回】
血液型(ABO血液型・Rh血液型・不規則抗体)、血算(白血球、赤血球、血小板の数・大きさ・容積・形態など)、血糖、B型・C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体 サイトメガロウイルス抗体 パルボウイルス抗体 - 子宮頸がん検診(細胞診)
- 性器クラミジア
- 超音波検査
- 初期ドック(希望の方)
妊娠20週~23週 乳がん、甲状腺超音波検査を行います。中期ドック(希望の方)
妊娠24週~27週
- 血液検査(貧血検査、妊娠糖尿病スクリーニングテスト)、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)抗体検査
- 性器クラミジア【妊娠30週までに1回】
妊娠24週~28週
- 血液検査
血算、血糖 - B群溶血性レンサ球菌培養検査
- 超音波検査
妊娠28週~32週 卒業へ
- 超音波検査
乳房超音波検査(妊娠中)
近年食生活やライフスタイルの変化によって乳癌は11人に1人に起こると考えられています。そして妊娠、授乳中の乳癌は非常に進行が早いと知られていて、発見時すでに進行しているケースも。当クリニックでは乳癌検診は問診、視診、触診、エコー検査で行います(妊娠中ではマンモグラフィーは被爆の観点からおすすめできません)
甲状腺超音波検査(妊娠中)
女性の10人に1人は甲状腺疾患と言われており、その中で甲状腺腫瘍が発生することがあります。妊娠中はhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の刺激により良性腫瘍でも大きくなります。妊娠中に発見された甲状腺癌は転移していない限り出産後の手術でも問題ないとの報告もありますが、もし癌が発生しているのに気づかなければ産後に手術するタイミングを逃すことになりえます。
妊娠の有無や予定日の決定も
健診以外にも妊娠確認、異所性妊娠(子宮外妊娠)の確認、予定日の決定(妊娠週数の確認)、双胎か単胎か、双子の場合の膜性診断といって胎盤や羊膜の数の詳しく確認しいたします。(一絨毛膜性二羊膜性双胎 MD、二絨毛膜性二羊膜性双胎 DD、一絨毛膜性一羊膜性双胎 MM)あと非常に稀ですが品胎(三胎)、要胎(四胎)、などの場合もそれぞれ膜性診断が必要です。 妊娠の有無を確認する検査では、主に尿検査と内診、超音波検査を行います。すでに妊娠検査薬でチェックが済んでいる場合は、尿検査は行わずに問診を受けた後に内診、超音波検査を受けていただきます。胎児の健全な発育と母体の健康のためにも、できるだけ早く妊娠を知ることは大切ですので、妊娠の兆候がみられたら速やかに検査を受けるようにしてください。