口唇裂、口蓋裂のおはなし

  • 2021.09.15

口唇口蓋裂(こうしん、こうがいれつ、しんれつ)をもって生まれた「さちこ」さんの生まれる前からのママの様子、そして生まれた後に手術を受けて成長していく様子を描いた本の紹介をしたいと思います。

今回は前勤務先の元関西医科大学附属病院形成外科教授先生で何人もの口唇口蓋裂の赤ちゃんの手術を担当していただいた楠本健司先生の著書になります。

頻度は約500人に1人見つかる変化で多因子遺伝と呼ばれて遺伝的な要素と他にも染色体の変化、環境因子(薬剤、感染、アルコール、タバコ、ダイオキシン、放射線などなど)が原因と言われています。両親や兄弟に症状があるとその次の兄弟に起こる頻度が上がっていくようです。

口唇裂、口蓋裂は当院では慎重に診断していて早ければ胎児ドックで妊娠初期(12週〜)でも細かく観察すると診断が可能のこともあります。

一般に多くの場合妊娠30週頃には診断がつくと思いますがこれは担当の先生次第といったところでしょうか。(「いや僕は私は妊娠20週で診断できます」という先生もいらっしゃると思いますが中には「見つける自信ないです」と自信を持っていう先生もいらっしゃいます。)

それはただ早く診断がつけばいいというものでもありませんが産まれるまでには診断をつけたいものです。そんな部分で胎児ドックは重要と我々は考えています。

診断がついていない状態で生まれた場合ママやパパはびっくりしてしまいます。そして医師や助産師も慌ててしまいます。見た目に驚くというより我々は他に心臓や内臓に異常があったら誰にいつ何の検査を依頼すべきかなどいろいろ考えてしまいます。緊急性があるのか無いのかも併せて産科医師が判断しないといけませんので特に夜間など責任重大です。

日本の産婦人科の診療ガイドラインがあってその中では実は赤ちゃんの口や頭があるかや手足が2本ずつあるかなどは「妊婦全員に行う検査には含めない」と書かれています。

そうは言っても多くの病院では決まった時期に超音波検査の得意な医師や技師さんが時間をとって胎児スクリーニング検査を行なったりしているようですが特にこれといった決まりはありません。ただ決まっていることは胎児超音波検査を行うのであればまず妊婦さんの同意が得られていることと専門施設などで充分にトレーニングを重ねてから実施することなどが記載されています。

もし「よく見てほしい」のであれば、お口の様子に限らず頭や顔、心臓、手足などでも「詳しく見てほしい」と伝えなければそのままいつもの妊婦健診では推定体重測定と子宮頸管長の測定を行なって通り過ぎてしまうことにもなるかもしれません。

一般的に口唇裂、口蓋裂だけで他に異常がなければお口の治療をすればキレイになりますが、口唇口蓋裂にはなんらかの症候群が約30%に起こると言われており、その症候群は200以上存在すると報告されています。従って口唇口蓋裂を見つけて終わりではなくその時には心臓や脳をはじめとする全身のチェックが必要になってきます。

「生まれてから手術するなら生まれてからの診断でいいのでは」と思うかもしれませんが、ご両親の心の準備ができるのと手術を担当していただく先生や病院についてよく調べて検討する時間が得られるというのが大きなメリットと考えています。手術の成績や症例数などはよくみるとかなり差がある場合があり、この場合キレイになるかどうかという差にも繋がってきます。

私は多くの口唇口蓋裂の診断を行ってきましたが生まれた後に手術でお世話になったのが形成外科の楠本健司先生でした。

ママのお腹の中にいる時から手術に向けての方針や発達の具合など細かく説明していただき手術をお願いしてきました。

この作品は50数ページにその過程が描かれているのですが、実際の検査や治療やの流れがよくわかる内容になっています。

当院では開院して1年たちましたがすでに2例ほど診断させていただきました。いずれも妊娠13週前後でした。今は生まれてくるのを待ちたいと思います。

以前楠本先生ご本人に10数冊いただいて患者様が現れるたびにお譲りしているうちにもう残り数冊となっていしまいましたがもしご要望に方がいらしたらお譲りいたしますのでお声がけくださいませ。

その先生ですが調べてみると今は教授を退任されてなんと本年9月から淀屋橋近くで「くすもと形成外科クリニック」をご開業されたとのことです。大変おめでとうございます!

大学病院時代に患者様のことでご相談させていただいたこともよくありましたが、いつもよく手入れされたおヒゲや素敵な時計などおしゃれな雰囲気に溢れていて密かに憧れていました。

きっと随所にこだわりのあるクリニックなんだろうと想像しています。

当院では胎児診断を行いますが診断して終わりではなく、どういうプロセスで治療を行うか、どの施設で治療を行えばより良いのかなどをご説明してママ、パパと一緒にその後のことをご相談していきたいと思っています。

いかがでしたか?

口唇裂、口蓋裂については一般の妊婦健診では診断がつかないことがあります。

それは検査自体が妊婦健診の必須項目ではないことに加えてたまたま診断技術の十分ある医師や技師さんの診察を受けるチャンスがあったとしても手が顔の前にあって見えずらかったりすれば診断がつかないかもしれません。もしお口に限らず赤ちゃんの体に手足が2本ずつあるかなどからはじまって他に病気や異常がないかを診断してほしいと思った場合には担当医にハッキリとご相談することをお勧めいたします。

もちろん当院にご連絡いただいて胎児ドックの予約をしていただいてもご対応いたします。妊娠初期においてはそもそもその診断自体が非常に難しいので検査を行う施設はほとんどないと思われます。

当院の胎児ドックでは生まれる前に診断がつく病気についてはなるべく診断していきたいと考えていますが、特に家族や親戚に多いご病気などもしあれば遺伝カウンセラーによるカウンセリングなどもご相談いただければと思います。

他のクリニックや病院で「何か異常かも」とか「異常が疑わしい」などと言われた場合でもご対応いたします。

ご予約いただければと思います。

私たちは頑張るママを全力で応援いたします!

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