「赤ちゃんの心臓に病気があるかも」と言われたら…
- 2023.07.14
当院では常にママたちのより良いご出産に向けて何かお手伝いできることは無いかといった考えのもと日々診療に取り組んでいます。
例えば「赤ちゃんの心臓に病気があるかも」と言われたら…多くの場合にお近くの大学病院の産婦人科へ紹介されて一度受診する形になると思います。そして改めて胎児心臓病のご専門の先生の診察日に再診して説明を聞くと行った流れかと思います。
もし「赤ちゃんの心臓に病気があるかも」と言われたら…
当院では胎児ドックなどで赤ちゃんの心臓や体の他の臓器も含めて検査を行います。
そして異常が見つかれば当院で撮影したデータをトライスファイという病院間でデータの通信を行う専用のツールを用いて小児循環器の専門医に送信して解析していただき後日当院で結果を聞いていただきます。
この度当院の開院から陰ながらご協力をいただいていた小児循環器ドクターの稲村昇医師が当院の非常勤医師として参加していただくことになりました。
稲村昇先生は胎児心臓病の診断においては日本では第一人者としてご活躍されている先生で現在近畿大学小児科教授として日本中で診療やご講演などでお忙しい先生です。そして元大阪母子医療センター小児科部長、元日本胎児心臓病学会の会長などを歴任された非常に有名な先生です。
お写真では非常に「キリッ」とされていますが実際はとってもやさしい先生です❤️
先天性心疾患(生まれつきの心臓病:CHD)は100人に1人に起こると言われていて高頻度に見られる先天性の病気と言えるでしょう。その原因は様々で遺伝(染色体、遺伝子変化)、環境因子、ウイルス感染、ママに糖尿病などの病気があり、他にもアルコールや薬剤の影響などが考えられています。
そして再発の頻度としては
上の子供さんに心臓の病気が見つかった場合で次の妊娠で約2〜5%、パパに先天性の心臓の病気などがあると約1〜3%、ママに先天性の心臓の病気などがあると約2〜12%などと報告があります。
その一方で多くの先天性心疾患は上で示したようなリスクのない場合に起こっていると言われています。
とすると家族や兄弟で見つかった場合には次の妊娠で注意する必要はありますが結局は妊娠したら全てのママに心臓に病気がないか注意した方が良いと言ってもいいかもしれません。
胎児ドックなどで当院で以前からスクリーニングを行なっていましたが、異常や変化があるかどうかの判断をしてある程度の診断をつけてから周産期センターなどにご紹介して分娩方針や治療方針が決まるというやり方だったり、当院である程度診断は行なってさらに撮影したデータを送信して稲村先生に解析していただいて遠隔診断をしてその後のことも含めて当院でご説明して治療を行う病院を決めると言う流れでした。
ここまでは同じですが
「病気があるかどうかを念入りに確認してほしい」というママに対して胎児ドックで診断してさらに稲村先生の診断も同時に行うことも可能です。結果は後日になりますが心臓に関しては胎児ドックと稲村医師の診断のダブルチェックとなります。
さらに他にもすでに他院で心臓の病気が疑われて検査を受けた、あるいは検査中のママにもセカンドオピニオンとして改めて診断して方針をご相談することも可能です。最寄りの医療機関だけの診断より複数の施設で確認した方が安全でその後の手術なども踏まえると場合によってはより良い結果が得られるかもしれません。他にも里帰り出産を考えているが心臓に問題が見つかった場合などでもその地域の分娩施設や新生児の管理可能な施設のご相談なども行います。
検査の対象として
- 心臓の病気があるかないか心配で当院胎児ドックの他に追加で小児循環器専門医の診断も希望されるママ
- 他のクリニックや病院で「心臓に病気があるかも」と言われて心配なママ、大学病院などにこの日に検査に来てくださいと言われた日が先すぎて心配で待てないママ
- 他のクリニックや病院で検査を受けて心臓に病気があるのは間違いなさそうで最終受け入れ病院を探している、あるいは住んでおられる地域の大学病院や周産期センターで診察を受けたけど他の医療機関での意見を聞きたいとお考えのママ。
などが対象です。
検査の流れ
例えば
当クリニックに電話かネットでご予約→診察(胎児ドックなど)→次の日から数日後再診して再検査やご説明を行います。
初日診察終了後に検査データのやり取り、ディスカッションを行ないます。その際稲村医師の知識と経験からその診断と治療方針などの確認を行います。
検査のメリット
- 心臓の検査のために大きな病院を受診する回数が少なくてすむ可能性がある。
- 心臓だけでなく他に病気があるかどうかも同時に診断していきます。しばしば心臓以外にももっと大きな変化や病気が見つかることがあり羊水検査や絨毛染色体検査が必要と判断した場合お勧めすることもあります。
- もし心臓に病気が見つかった場合でもご希望があれば最も適切な出産施設や治療施設をご紹介やご案内することも可能です。
- 病気があった場合に診断に迫っていきますが、その診断であれば先にどのような経過をたどるあるいは治療をおこなっていくかまでご説明いたします。
稲村医師の診断は遠隔診断となります。対面でのご説明は当院にて院長によるご説明になります。さらに詳しい診断が必要と判断した場合には近畿大学附属病院小児循環器科を受診をお勧めすることもあります。診断に関しては最善を尽くしますが胎児の心臓の診断に関して新生児期に心臓や周りの血管はダイナミックに変化することもあり例えば生まれてすぐの診断と生後1週間後の診断結果が変わることもあったりすることをご了承くださいませ。
そしてこの診断に欠かせないシステムがトライスファイという画像転送システムです。すでに胎児ドックや妊婦健診で撮影した超音波3D/4D画像をスマートフォンに診察のたびに毎回転送させていただいていますがもともとこのシステムは病院間の検査データの通信を想定として作製された非常に高度なセキュリティーを備えています。この安全性の高いシステムと超音波機器、胎児クリニックと胎児心臓病のスペシャリストが連携することで実現したシステムになります。
いかがでしたか?
当院では胎児の先天性心臓疾患の診断に力を入れています。
もし心臓の病気が見つかった場合には小児科稲村先生と協力してより正確な診断を目指すとともに最善の治療や対応が可能な御施設への橋渡しになるべく取り組んで行きます。
当院は頑張るママを全力で応援いたします!
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