「いったい私はどの出生前検査を受けたらいいの?」

  • 2025.03.05

「出生前検査っていろいろあって結局どれを受けたらいいかわからないよ〜」というあなたに少しでも役立つ情報をお伝えできればと思います。

当院では胎児ドックを希望されたりご興味のある方からお電話などでのお問い合わせが多くなりました。

クリニックにいらっしゃってお話も行いますしお電話でも概略をお伝えしていますが一度に伝えきれない部分も多く、こちらでまとめ記事を作成しましたのでご参考いただければと思います。

当院は妊娠確認や妊婦健診も行なっていますのでその流れの中で胎児ドックであったりNIPTも行っていくと自然な流れで検査についてご説明が可能になっています。

他の医院様などで健診をお受けになっていらっしゃる方でもご予約をとっていただいてどのような検査があってどの検査を受けようかなど説明をお聞きになることも可能です。

他院で妊婦健診を受けているで初期ドックのみの検査やあるいはNIPTのみをお受けになることももちろん可能ですし初期ドックとNIPT同時に申し込まれる方も増えています。

そもそも種類が多くてどの検査を受けようか悩んでしまった場合にはご予約していただいてカウンセリングを行うことも可能ですがその前に検査の内容についてここで少し解説を加えてそれぞれの検査について参考にしていただければと思います。

下の表は日本医学会の運営する出生前検査認証検査等運営委員会の作成した出生前検査の比較の表になります。当院は同委員会の認証を受けた連携施設です。

当院でNIPTをご希望された方にお配りしている資料の一部になります。

それではそれぞれの検査を一つ一つ見ていきます。

ちなみにここにある検査は全て当院で受験可能です。

非確定検査
確定検査

この資料は出生前検査認証検査等運営委員会のホームページから参照できます。以下にリンクを示しておきます。

https://jams-prenatal.jp/testing

確定検査と非確定検査とは何?

上の3つ「初期超音波マーカー検査」「血清マーカー検査」「NIPT」は非確定検査と捉えれていて日本においてダウン症、18トリソミー、13トリソミーについて生まれてくる確率を数字や「陽性」「陰性」などという表現で表す検査のことで、それぞれ正確性(検出率)が違います。下の表の確定検査とは絨毛検査と羊水検査をさし、直接胎児細胞の検査を行うものでより正確な結果が得られます。ダウン症であればほぼ100%診断がつくという意味で確定検査と呼ばれています。通常非確定検査によってリスクを判定して確定検査を受けるかどうかの判断を行います。

超音波マーカー検査

NT(くびのむくみ)

当院では胎児ドックの初期ドックの一部にあたります。妊娠11週から13週6日までに行う超音波検査になります。流産リスクはありません。当院ではFMFという英国の初期スクリーニングの手法を使ったくびのむくみ(NT)、鼻骨の有無、静脈管の血流、三尖弁逆流の有無を測定して検査を行なっていてダウン症の確率などを算出して行います。当院におけるダウン症の検出率(見つかる確率を言います 例えば100人ダウン症の赤ちゃんがいた場合にそのうち何人のダウン症が見つかるかの人数を表します)は約80%です。上の表にある「くびのむくみ NT」と年齢のみから算出するとおよそダウン症の検出率は60%です。結果は当日にわかります。結果はダウン症の他に、18トリソミー、13トリソミーの確率がわかります。当院の初期ドックでは他に頭、顔、心臓、手足、外性器などの臓器の形の異常がないか検査を行います。例えば心臓の向きや形の病気がないかや大きな穴があいていないか、お顔に目が2あるか、脳は左右に分かれているか、横隔膜のヘルニアや二分脊椎や無脳症、臍帯の病気などがないかなどひとつひとつ細かくスクリーニングを行います。腹式超音波検査中はお連れさまもご一緒にご覧いただけます。初めて胎児さんにお会いできる機会になる方も多く、同時に3D4Dエコーも行いますのでお見逃しなく。

三尖弁血流
3Dエコー 胎児さん

コンバインド検査

当院ではオスカー検査と呼んでいて初期ドックと同時に行うとダウン症の検出率が上がります。具体的には初期ドックで計測したNTの値と採血でβhCGとPAPP-Aという血清マーカーを測定してそれらを組み合わせてダウン症や18トリソミー、13まトリソミーの生まれる確率を算出します。初期ドック単独だとダウン症の検出率は約80%ですがオスカー検査を同時に行った場合ダウン症の検出率は約95%と考えられています。当検査単独では行なってはいませんがもしご希望であればご相談に応じます。コンバインド検査単独でダウン症の検出率は約80%程度と考えられています。

NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)

当院では出生前検査認証検査等運営委員会の認可施設となりますので検査の内容などのカウンセリングを行った上で検査を行います。ダウン症の検出率は99%と考えられています。結果は約7日前後で出ます。妊娠10週から妊娠16週頃までを推奨しています。 本検査はダウン症のみに関していえば初期ドックより検出率は高いと考えられています。しかも検査の行える時期が初期ドックよりも1から2週間早く行えるのでその分メリットはあると考えています。ただNIPT単独では胎児の形態異常(形の異常)は全く分かりません。極端に言えばお腹の中で胎児が既にお亡くなりになっていても検査ではわからないのでその点注意が必要です。他にも染色体に異常のない非常に重症の病気も数多く存在するため超音波検査なしに安易にNIPT検査を受けてしまうと後で思いもよらない結果が判明することがあります。当院ではNIPTの弱点を補うために必要最低限の超音波検査を日本超音波医学会医学会専門医として同時に行なっています。その際お連れさまもご一緒に動いている胎児さんの映像をご一緒に確認できます。ご主人やご家族様が初めて胎児さんにお会いできる機会になる方も多く、3D4Dエコーも同時に実施していますのでお見逃しなく。

最近ではNIPTと初期ドックを組み合わせて受けられるママも増えてきました。初期ドックで心臓や頭、お顔の病気などより多くの病気のスクリーニングをおこなった上でNIPTでダウン症の検出率が99%になるので両方のメリットを活かした組み合わせとなります。

ご参考までに他院さまの超音波検査や妊婦健診などで偶然何かしら異常が見つかったとか胎児水腫などの症状がすでにある場合にはNIPTはお勧めしていません。それは簡単に言うと上の表の3つ(初期ドック、母体血清マーカー検査、NIPT)は検出率の違いはあれどいずれも非確定検査になります。検査の原則から言えばいずれかの検査で病気の疑いがあれば通常は確定検査(絨毛検査か羊水検査)にすすむのが通常の原則です。例えば胎児水腫と診断されてNIPTをご希望される方も時々いらっしゃいますがあまりすすめません。もちろん検査を行うことは可能ですがご希望通りNIPTを行なって結果が陽性の結果であればその後絨毛検査か羊水検査を行って確認する必要が出てきますし、陰性であった場合にもその病気の診断にはもう少し詳しい検査を行う必要性が出てきますのでやはり絨毛検査や羊水検査を念頭におく必要が出てくるからです。もちろん検査前にお一人づつ事情や状況、あるいはご希望を確認した上で適切な検査を行います。

母体血清マーカー

採血のみで行う検査 ダウン症の検出率は約80% 結果は約1週間ほどかかります 二分脊椎の確率も算出できる 初期ドックを受けたかったが時期的に遅れてしまった場合にはメリットもあります。とはいえ結果が出るのに2週間近くかかる場合があるため検査は妊娠15週台では受ける必要があります。少し制約があるので検査の期間が狭い検査です。NIPTが始まってから検査数は当院では減少しています。

羊水検査(AC)

羊水検査

確定的検査の一つでダウン症の検出率は99.9%(100%と言ってもいいでしょう)検査を行う時期は妊娠16週以降 結果は5日前後(ダウン症、18、13トリソミー) 2〜3週間の2段階で出ます 流産リスク1/300から1/1000程度と言われています 欧米で他施設の共同研究で発表された結論としては羊水検査も絨毛検査も習熟した医師が検査を行なった場合には非常にリスクは低い検査であると述べられています。羊水検査といえば確定検査の中心的検査で知名度も高い検査です。胎児の周りにある羊水を細い穿刺針で20mlほど抜き取って胎児自身の細胞を解析して行う検査です。当院では院長が大学病院時代から行ってきた方法に加えて独自に工夫を重ねて現在の手法に辿り着きました。他院で行う針よりさらに細い針を使用するなどして従来より破水や早産リスクが低下や安全性が見込まれます。当院では2020年に開院以来検査後正期産時期までの破水なし、早産もなしで継続しています。準備には10分ほどかけて検査に使用する器具の準備やエコーでの確認を行いますが穿刺位置が決まれば針刺している時間はおよそ2分程度で終了します。その後に回復室でお過ごしいただいて問題ないことをエコーで確認してから帰宅していただきます。結果は迅速検査が1週間前後、最終レポートは3週間ほどで出ます。検査当日は安全のため外出は最小限にしていただいています。自宅でなるべくお過ごしいただければと考えます。

採取した羊水 透明で黄色です 赤ちゃんの尿が多くを占めているため通常このような色です

絨毛検査(CVS)

絨毛検査

現在の確定的検査の中心的検査です。絨毛といって胎盤の元になる組織から細胞を採取する方法になります。検査を行う時期は妊娠12週から15週台まで デメリットとして胎盤モザイク(CPM)というものがあります。これは絨毛、胎盤組織にのみ起こる状態で正常と異常な細胞が見られることをいいます。この場合胎児の染色体は正常です。胎盤モザイクが疑われる場合には羊水検査による再確認が必要になります。およそ1%にみられます。メリットはまず安全性になります。羊水を採取するのと違って胎盤組織の一部を採取するため検査中に赤ちゃんが動いても臍帯の位置が変わっても全く心配せずに検査を行えるメリットは大きく、検査後の破水の可能性は低くなります。羊膜に小さな穴をあけて羊水を採取する羊水検査と違って絨毛検査は羊膜に穴があくことはないので破水のリスクが低くなるのと考えられます。 羊水検査でも丁寧に消毒を行って検査を行いますが羊水への感染リスクは絨毛検査では低くなります。流産リスクは1/300から1/1000程度と言われていますが最近の報告では羊水検査も十分リスクは低いが絨毛検査はそれに比べてより安全であろうという報告があります。当院では2020年に開院以来検査後正期産時期までの破水なし、早産もなしで継続しています。他にデメリットとしては検査手技の習得が難しい点があります。私も安全に検査を行うため準備に2年間ほどかかりました。日本国内で検査可能なご施設は非常に限られていています。その中で日本国内で厳選した3施設様へ視察に伺った上でそれぞれのこだわり部分をうまく取り入れた内容を当院の検査方法として採用しています。そのおかげでより安全でスムーズに検査が行えるようになりました。準備には10分ほどかけて検査に使用する器具の準備やエコーでの確認を行いますが穿刺位置が決まれば針刺している時間はおよそ3〜4分程度で終了します。その後に回復室でお過ごしいただいて問題ないことをエコーで確認してから帰宅していただきます。結果は迅速検査が1週間前後、最終レポートは3週間ほどで出ます。検査当日は安全のため外出は最小限にしていただいています。自宅でなるべくお過ごしいただければと考えます。

採取した絨毛組織 もろもろした白い組織です ピンク色の培養液に浸かっています 血液が混じっているのではありません

いかがでしたか

出生前検査といっても最近はその選択肢が多くなってきています。少しづつではありますが日本でも出生前検査が認知されてきています。理解を深めて最も自分たちにあった検査を選択する上でのご参考にしていただきたいと思います。

もちろん何の検査を行わないという選択も尊重したいと思いますので必ずいずれかの検査を行わなくてはならないというものでもありません。

重要なことは検査を理解した上でご自身で選択するということが重要です。検査によっては期間が決まっているものがあり、後になって「やっておけばよかった」ということにならないようしたいものです。

実は産婦人科医師の中にも今も出生前検査に対してどちらかといえば否定的な方もいらっしゃいます。そのような先生が担当医師だった場合患者様が出生前検査の話を切り出した途端態度が変わって機嫌が悪くなってしまうといったことも時々お聞きします。

患者様自身気軽に聞いてみたつもりでも医師としては立場上気軽に返答できないことも充分理解できるのですが、そんな場面としては「大変重要な問題なので専門のクリニックや施設で聞いてみたらどうでしょうか」と答えるのが大正解なのですが「そんな検査あなたは若いんだから必要ない」とか言われてしまうと凹んでしましますよね。ただでさえその医院や産院での出産を考えているのであればその産院の先生にそれ以上尋ねにくくなりますから。「何か赤ちゃんのことを信じてあげていない自分を責められているような雰囲気に耐えられませんでした」と当院を受診されて告白される方もいらっしゃいます。でも毎日勇気を出して当院を受診される方の多くは大きな病気も見つからなかったため安心してご帰宅されます。もし大きな病気が疑われた場合でも当院で可能な範囲でママと胎児にとって最善の道をお伝えしています。必要に応じて当院非常勤小児循環器医師(近畿大学小児科学教授先生)のアドバイスや意見を参考にしたり、産婦人科では大学病院や周産期母子医療センターなど多くのご施設様が当院の取り組みに賛同して協力していただいています。

出生前検査を行っているご施設でも中には異常があってもなくてもメールで結果が送られてきておしまいというクリニックもあるようです。異常が疑われてオペレーターに連絡したら「専門の病院で結果を聞いてください」とか「専門の病院で検査を受けてください 絨毛検査を行っている病院は○○大学病院と○○クリニックなどがあって…」というマニュアル通りの言葉を繰り返すだけの場合もあるようです。

当院ではしっかり結果について説明した上で最善の方法をご相談しています。どのような結果であってもけしてひとりにはさせません。

当院ではがんばるママを全力で応援しています!

文責 よりおか胎児クリニック 依岡寛和

#出生前検査 #胎児ドック #NIPT #絨毛検査 #羊水検査 #宮城県立こども病院 #クリフム出生前診断クリニック #古賀分敏ウイメンズクリニック #北海道大学 #新型出生前検査#あべのハルカス #天王寺#阿倍野区#近畿大学小児科 #よりおか胎児クリニック#3D4Dエコー

PAGE TOP