「NIPT(新型出生前診断検査)始めました!」

  • 2023.02.26

日本医学会の専門委員会である出生前検査認証制度等運営委員会におきまして2022年9月12日におきまして当クリニックは「NIPTを実施する医療機関(連携施設)」として認証されました。

認証医療機関・認証検査分析機関一覧 https://jams-prenatal.jp/medical-analytical-institutions/

NIPTとは非侵襲性出生前遺伝学的検査(Non-invasive prenatal genetic testing)のことで妊娠中のママの血液中には、お腹の中の赤ちゃんの胎盤からこぼれてくるDNAの断片が含まれていることがわかってきて、このDNAを調べることで赤ちゃんの染色体疾患について調べる検査です。

30年近く前の話ですが私が大学生の頃などは授業で講師の先生は「ママの血液と赤ちゃんの血液は妊娠中混じらないんだよ」と教えながらも「でもホントはちょっと混じっているようなことがわかりかけているんだよ だから試験でそのような問題が出たら混じらないと答えるのが今のところ正解だ」と教わりました。

その後の医学の進歩や研究の成果で実にママの血液の中には赤ちゃんのDNAの切れ端が約10%も混じっているということが判明し、さらにその部分をママのDNAを短時間で区別できるような技術が達成されて実現した検査となります。

検査の方法は?  妊娠10週以降にママの血液を採取して分析検査を行います。

検査の制限は?  年齢制限はありません。ご夫婦の同意が必要です。

検査の対象の病気は?  21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワード症候群)、13トリソミー(パトウ症候群) の3疾患になります。

検査時期は? 妊娠10週以降14週頃まで(原則)

結果はどのように出ますか? 「陽性」、「陰性」、「判定保留」のいずれかで結果がでます。

まず「陰性」の場合21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性は非常に低いという意味です。ただ偽陰性といって実は病気が見つかる確率は21トリソミー(ダウン症)の場合で1万人に1人と言われています。

次に「陽性」の場合21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性が高いという意味です。この場合には羊水検査や絨毛検査いずれかの確定検査を受けていただくことで確認が必要です。ダウン症については精度が高いと言われていますが18トリソミー、13トリソミーの場合には「陽性」の結果であっても比較的精度が低いので本当に病気があるかは確定検査を行わなければわかりません。この場合には当院では基幹病院である大阪公立大学様にカウンセリングを受けていただくことになります。その上で当院で絨毛検査や羊水検査を行うのか大阪公立大学で羊水検査を行うのかをご相談していただきます。

そして「判定保留」の場合 先ほどママの血液に約10%ほど赤ちゃんのDNAが混じっていると書きましたが原因はともかく採取した血液に赤ちゃんのDNAが約3%を下回ると判定保留となります。ですから検査の週数が早すぎたりすることは原因の一つになり得ます。

妊娠したら産婦人科医から予定日を告げられますが近年では赤ちゃんの大きさから判定する方が正確と産科ガイドラインでも謳われており、この予定日決定も産婦人科医師の重要な役割と考えています。ここで妊娠週数がずれているとNIPTを受けた時に思わぬ結果が出ることもあります。

他にもママの体のどこかに腫瘍ができているような場合や胎盤性モザイク(CPM)といって正常と異常が混ざった状態で胎盤が形成される状態の場合(約1%あると言われていています)そして実は双子の妊娠で袋(胎嚢)だけが見えるようなVanishing twinと呼ばれる場合などにも注意が必要です。産婦人科専門医が最新のガイドラインにしたがって診断すれば超音波専門医でなくてもこの部分の診断は可能と思われますが慎重に超音波検査で評価をしておきたい部分です。ですからNIPTの前にはかかりつけの産婦人科施設で予定日の確認を行うことをおすすめします。

NIPTは産婦人科でうけた方がいいでしょうか? 

私はNIPTの認証施設での検査をおすすめしています。そのポイントは大きく4つあると考えています。

  1. 予定日の再評価
  2. 心拍確認
  3. Vinishing Twinの診断
  4. 胎児の大きな異常の有無

私はNIPTの認証施設、無認証施設に関わらず超音波検査での確認が必須と考えています。

(1)当院では上記の予定日決定あるいは今おかかりの産婦人科施設で決められた予定日が適正かどうかも念のため確認も行なっています。当院では妊娠10週からNIPT可能ですが妊娠8週頃だと早すぎて判定保留になる可能性があります。月経周期によって本当の予定日は少しずれることがありますが胎児の計測を正確に行うなうことでその誤差を最小限に抑えることが可能です。

(2)Vanishing twinとは双子の妊娠がスタートになっていてそのうち1つだけの袋に胎児が見えてくような状態を指します。よく観察しないと見逃してしまう小さな所見ですので超音波検査は重要です。袋しか見えない(つまり初期に何らかの病気で流産している)妊娠の成分が母体血中に混じっていきますから正常に発育している胎児の成分と区別するのは困難です。その場合にはNIPT検査を行う前から「判定保留」になる確率が高くてNIPTはおすすめできません。検査前から判定保留になりそうなら他の検査を考えた方が良いと誰しもが考えるのではないでしょうか。(例外的にあえてVanishing twinを知っていてNIPTをお受けになって陰性という結果が出れば安心と考えるママもいらっしゃいますが)

(3)そして何より最も重要なことは検査の時点で赤ちゃんの心臓が動いているかどうかです。もし心臓が動いていなかったとしたらNIPT検査はおすすめできません。おそらく心臓が止まっていて検査を受けたいと考える人はほぼいないでしょう。

(4)他にも重要なとこは赤ちゃんに大きな体の異常や変化がある場合には検査をお勧めしないことがあります。例えば無頭蓋症、四肢や体幹の大きな異常、NT肥厚(くびのむくみが大きい場合)などはNIPTはおすすめしません。特に染色体の変化がなくてもほぼ致死的な病気が疑われる場合や高い確率で染色体の変化がありそうな赤ちゃんには最初から絨毛検査や羊水検査を行なった方が結果が早くわかります。早く診断がつくメリットとしては出産するかどうかを相談する時間ができることに加えて出産するなら適切な施設を探して出産する準備に必要な時間をかけられます。そして万一産まない選択をした場合に母体へ影響は妊娠週数に比例して負担が大きくなります。当院ではこのようなすべての異常や変化がわかるわけではありませんが重篤な疾患が隠れていないかも当日スクリーニングして確認しています。心臓が動いているかやVanishing twinかどうかの判断は産婦人科の専門医ならほぼ可能ですが胎児の体の形の変化の診断については胎児超音波検査の十分な経験が必要でしょう。

費用は? カウンセリング5000円 NIPT前超音波検査5000円 NIPT検査費用 12.5万円(万が一陽性になった場合の羊水検査費用は含まれていません)

検査日時は? 特に診療時間内(平日なら午前9時30分から午後6時まで。土曜なら午前9時30分から午後4時まで)にご予約をいただければ検査可能です。お電話でもネット予約でも受け付け可能です。(ネット予約の場合にはお電話での確認にて本予約となります)

そのあとに初期ドックを受けることでより多くの異常を見つけることが可能です。妊娠10週でNIPTを受けて妊娠12週頃に初期ドックを受けるママが最近増えてきています。

他に万一無認可施設でNIPTを受けて「陽性」という結果が出た場合のご相談も可能です。(認可施設であればカウンセリングを行なって検査の流れができていたりしていますが)無認可施設では羊水検査費用が含まれた費用設定になっている施設も多いのですがその場合妊娠16週頃まで待たなければなりません。当院では絨毛検査を行うことでより早期に検査をして(12週から可能)染色体の確定検査が可能です。約1ヶ月の間心配しながら過ごすことを避けることが可能です。絨毛検査は早い時期に検査が可能なので羊水検査を行う頃には絨毛検査であれば結果が出ていることも珍しくありません。絨毛検査というとあんまり情報がなく、コワいイメージがあるかもしれませんが私個人の感覚でいえば絨毛検査の方が羊水検査に比べて破水のリスクが少ないなど比較的安心して検査が可能です。

もし陽性という結果だったらお電話にて詳しく状況をお伝えしていただければと思います。

そして無認可施設で検査を受けようと考えているママにも検査の費用を無駄にしないために当院の超音波検査は大変有用です。ご相談くだされば検査予約受け付けます。

ちなみに当院で最初にNIPTを希望してご来院されたママは残念ながら心拍が停止していましたのでNIPT検査はおすすめしませんでした。胎児の体のご様子から大きな臍帯ヘルニアの可能性があったと考えていますがNIPTの前に超音波検査を行なっていなければ心拍が停止しているにも関わらずそのままNIPT採血を行ってしまうところでした。それに気づかず(もしくはあえて超音波検査を行わずに)にNIPT検査を行なって後日「陰性の結果でした」と知っても全く喜べないケースでした。

いかがでしたか

NIPTを受けようとお考えのママに少しでも参考なれば幸いです?

当院ではがんばるママを全力で応援致します!

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